月別アーカイブ: 11月 2015

中年齢のミニチュアダックスフンドの閉鎖性喉頭炎

中年齢のミニチュアダックスフンドがここ数日呼吸が苦しそうになってきたという主訴で来院した。患者は元気食欲がなく、吸気時の努力呼吸をしていたため、上部気道の狭窄や閉塞が疑われた。咽喉頭部のX線検査で喉頭部に円形の腫瘤が内側から突出しているのが分かった。鎮静剤と酸素療法で呼吸は安定するが、酸素室から出るとすぐに呼吸困難になる為、麻酔下で喉頭の内視鏡検査をした。円形の赤みを帯びた肉質の腫瘤が観察された。針生検では好中球とリンパ球が散在して見られたのみなので、炎症と浮腫がそこに存在していると判断し、検査後はICUで管理し、プレドニゾロンを投与したところ、急激に呼吸が改善し、3日目には退院していただき、数日のプレドニゾロンと、その後の暫減により、現在も全く症状がなく、通常の生活をしている。 写真はレントゲン写真の治療前と治療後の喉頭部。そして内視鏡で口腔内を観察している写真には喉頭を完全に閉鎖している喉頭嚢の腫大した赤い(ポリープ様)腫瘤が見られる。 一見、反転喉頭小嚢(あるいは外反喉頭球形嚢)にも見えるが、短頭種ではないのと元々良く吠える性格であること、細胞診で炎症細胞だけが見られていたこと、腫瘍細胞が見られていない、ステロイドによく反応し全く腫れている部分がなくなったことなどから、閉鎖性喉頭炎と診断した。  

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フラットコーテッドレトリーバーの前肢(関節周囲)の組織球肉腫と断脚手術

8歳のフラットコーテッドレトリーバーが10日ほど前からやや跛行があり、3日前から左前足を挙上、他院にてステロイドを処方されたが、改善しないということで、来院した。身体検査では左前肢の肘と肩の皮下に腫瘤(X線写真でも確認できる:写真①)を触知、またX線検査では上腕骨近位に骨融解像(写真②)がみられた。さらに針生検による細胞診ではかなり悪性度の高い独立円形細胞が多く見られた。後日肘と上腕に触知できた腫瘤のオープンバイオプシーを実施、病変部の生検材料の病理組織検査を実施した。その際、不運なことに胃捻転を起こし、急遽胃捻転の修復手術及び胃固定術を実施した。後日病理組織検査結果が届き、予想通り、「組織球肉腫(悪性組織球症)」であった。胃捻転手術の抜糸が終わり、左前肢はその後浮腫が進行したり、皮下の内出血や腋下リンパ節の腫大が起きてきたのと、フェンタニールを使用しても疼痛管理が難しかったため、飼い主の方と充分相談した結果、前肢の断脚手術(写真③④)を実施した。その後は充分な疼痛管理をし、貧血傾向が強かったことから輸血も実施した。その結果状態はしだいに改善し、三本足歩行にも慣れて、かなり歩けるようになっていった。術後、術創内の漿液が長めに溜まっていたため、結局術後一ヶ月の検診で身体検査や画像診断をした結果、後肢の皮下に3ヵ所、直径2cm弱と6mm、5mmのサイズの腫瘤を触知した。そこをFNA(針生検)による細胞診をした結果、以前と同様の組織球肉腫と思われる腫瘍細胞が認められた。また脾臓には低エコーの小さなマスも存在していた。その為化学療法(CCNU)の治療を開始した。本人の様子は至って健康そうで、元気や食欲は全く以前と変わらない。歩き方も大分慣れてかなり早く歩く事も出来る(写真⑤)。 上から順に写真①②③④⑤

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