下痢症状で来院したボクサーに脾臓の巨大な血管肉腫

 

9歳のボクサーが1週間前からの下痢症状と 昨日嘔吐、よくお聞きすると最近食欲にムラがあるということだった。血液検査の結果は中等度の貧血と中等度の血小板減少症、アルカリフォスファターぜの上昇くらいで他には異常がなかった。X線検査では中腹部に大きなマスがあり、計測すると15cm×21cmくらい(写真①)のものであった。超音波検査で見たところ、マスの内部は高エコー部と低エコー部が混在している様子(写真②)が分かる。また腹腔内に液体が溜まっている(写真③)のが分かった。

 

写真①

 

写真②

 

写真③

 

 
 下の写真④は開腹直後の様子、写真⑤は摘出した腫瘍化した脾臓で重さは2.7kg.あった。術後の経過は順調で食欲もかなり出てきて、元気も良くなったので3日後には退院した。その後の病理組織検査の結果は大きな腫瘍部分は血管肉腫で、その他の場所はうっ血と髄内造血があった。術中肝臓を見たが表面に小さめの腫瘤が少数散在していたので、肝臓転移もあるかも知れない。いずれにしても、特に化学療法などをしなければ、早ければ1ヶ月か2ヶ月で状態が悪くなり死亡という事も考えられます。

 

写真④

 

写真⑤

 

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