胸水貯留を伴った縦隔の高分化型リンパ腫の猫

11歳の猫が元気消失、1週間前から食欲廃絶、呼吸速迫という状態で来院した。レントゲン検査で胸水の貯留が認められた(写真上段右)ため、呼吸改善と胸水の細胞診の目的で胸腔内の液体を210ml抜去した(写真上段左)。縦隔内の腫瘤の針生検および胸水の細胞診で胸水には腫瘍性リンパ球が多数出現しており、IDEXでの検査結果は胸腔内の腫瘤はT細胞のリンパ芽球性リンパ腫が疑われるというコメント。また胸水のPCR検査の結果はTリンパ球のリンパ腫が疑われるという結果。つまり胸腔内前胸部の腫瘤は胸腺腫などではなく、高分化型のリンパ腫であった。その後3種類の薬剤を使用するCOPプロトコールを開始(化学療法剤開始時が下段写真右)、この時点ですでに胸水が増加している。化学療法開始から1週間後には胸水はかなり減少し、一般状態が改善し、元気食欲はほぼ正常と思われる状態に戻った(下段写真左)。現在は食欲旺盛、呼吸状態や元気も完全に戻った。

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