犬の高血圧症の1例

12歳9ヶ月のシーズーが3日前位からふらつくような歩き方で、物にぶつかることがあった。今日は元気も食欲も低下していて様子がおかしいということで来院した。診察した結果、両目の失明が判明し、眼底検査で眼底出血と網膜剝離があり、エコー検査でも網膜の剝離が確認された。そこで血圧を測ったところ、収縮期が234、拡張期が204と重度の高血圧が確認された。ルーティン検査としての血液検査結果は白血球(好中球)増多のみで、それ以外の項目は、血液化学検査を含めて全く異常がなかった。また画像診断ではレントゲン検査で膀胱結石の存在と、超音波検査で右の副腎が1.4cm×2.5cmに腫大、腫瘍化していた。これらのことから副腎髄質の腫瘍である褐色細胞腫と仮診断し、高血圧の治療薬を始めた。その結果、翌日には上が189、下が157となり、3日目には上が158、下が122となって、状態もよくなり、食欲や活動性も出てきた。本来褐色細胞種などの副腎の腫瘍は外科切除が基本になるが、飼い主の方は手術を希望しなかった為、内服薬で降圧剤を内服してゆくことになるが、腫瘍が大きくなるにつれ、内科的にはコントロールが出来なくなってくるでしょう。

 

 

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