フラットコーテッドレトリーバーの組織球肉腫

12歳の雌のフラットコーテッドレトリーバーが左後肢の跛行で来院。左後肢の膝関節の腫脹があり、X線検査で関節周囲が腫脹しており、大腿骨遠位の僅かな骨融解と骨膜反応があった。また関節液も貯留していたため、関節液を採取して検査したところ、好中球は多かったが細菌の貪食像はなかった。腫脹している関節周囲の組織に針生検をして細胞診をしたところ、かなり悪性度の高い大型の非上皮性腫瘍細胞が多数みられた。そこで後日全身麻酔下で組織を一部採取し、病理組織検査を実施。その結果この犬種に特に多い組織球肉腫であることが判明した。飼い主の方とご相談の上、現在と将来増加する痛みをとってあげるというQOL向上の目的といくらかでも周囲の転移を防ぐ目的で、左後肢の断脚手術を選択された。この子は元々犬には珍しい皮膚の好酸球性肉芽腫が数年前から耳介や顔面、足先などに発生し、その度ステロイド剤により治療して改善していた。そして現在も隔日で投与していたが、手術してから抜糸するまではこのステロイドを中止することになる。また術創の治癒の遅延が考えられるため、2週間以降の抜糸となる。

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