ジャーマンシェパードの腎臓の血管肉腫:右腎(尿管含む)全摘出手術

初診で血尿が出たという主訴で来院したジャーマンシェパード11歳。尿検査では明らかな血尿で細菌や好中球があったため、膀胱炎の治療として、止血剤と抗生物質で治療したが、一時的に改善したが、3週間程でまた血尿が出だしたのでX線検査とエコー検査をした結果、右腎にマス用病変と液体が腎臓内に貯留していることが判明。大学病院に紹介してCT検査と細胞診の所見としては異型性のある間葉系細胞が見られたことから、何らかの肉腫であることが分かった。したがってこのままでは出血は止まらず貧血が進行し、腎臓からがん細胞が腹腔内に播種されたら、一気に悪化すること事が予想されたため、飼い主様の同意を得て、右腎全摘出(尿管含む)を実施した。手術後、翌日には肉眼的には全く正常の色の尿になった。病理組織検査の結果は、血管肉腫。その後の治療に関しては抜糸後に化学療法を始めるか、免疫療法やインターフェロンγ、あるいはその他の自然療法などの緩和治療をするのか、悩まれていたため、日本小動物がんセンターのDr小林に相談に行っていただくことにした。その後は化学療法を実施することになったが、半年以上良質な生活が送れ、最終的には肺に転移像がみられ、緩和療法に切り替えたが、最後はとても安らかな状態で天国に召された。

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