犬同士の喧嘩による咬傷を甘く見ないで下さい。

 

ある雑種犬が複数の犬とケンカし、ケガをしました。来院時は陰嚢や後肢の内側と外側の数ヶ所の出血と背中の数ヶ所の出血があり、痛くてあまり動けない状況でした。写真下は数ヶ所の咬傷による犬歯の刺さったような小さ目の傷がある。  

 

ところが皮膚の下ではとんでもない事になっていた。右側下腹部のやや盛り上がったところは、筋肉が完全に裂け、腹筋と腹膜に大きなホールが開いており、その穴から腸管が皮下にまで出てきてしまっていた。その腸管も咬傷の圧迫により、腸そのものとそこに向かっている血管もちぎれており、小腸の一部が壊死していた。それが下の写真の左で、中央は飛び出した腸管を元の腹腔に戻したところ。右の写真が手術して壊死していた腸管を切除したもの。

 

 

 

 
下の写真は左後肢内側の皮下の筋肉および大血管の分枝の断裂が認められた。   

 

腹部の壊死した腸管を切除し、腸管の端々吻合と、腹壁の修復手術をして、2週間後には左足膝の少し上あたりからその下にかけての血行が戻らなく、壊死をしてきたため、断脚手術に踏み切った。術後は5日後に退院し、現在は3本足で元気に生活している。 

 このように皮膚の内側では想像もつかない程のダメージがあることが多いので

傷の大きさに関係なく、犬同士の喧嘩で少しでも歯が入った可能性がある場合

は動物病院に連れて行って、診察を受けてください。

 

 

 

 

コメントは停止中です。