ヨークシャーテリアのソケイヘルニア内に入り込んだ子宮蓄膿症

高齢のヨークシャーテリアが1~2週間前から元気食欲がなくなり、昨日から全く食べず動かなくなってきたということで、来院した。来院時体温が40.5℃で白血球は3万近く好中球の左方移動(急性炎症)と単球の増加(慢性化膿性炎症)が見られた。X線検査では腹部に液体貯留を疑わせるスリガラス状の陰影(写真①)があるのと、下腹部のマス様の陰影、また右腎腎盂(写真②)および膀胱内の結石が見つかった。ソケイヘルニア嚢内にも腸管以外の臓器らしいものが見える(写真③)。超音波(エコー)検査ではヘルニア嚢内に管腔臓器内に液体の貯留している像が実られた(写真④)。静脈点滴を開始し、抗生剤やビタミン類も静脈投与として治療を開始した。膿の漏出による腹膜炎を起こしている可能性があったため、その日のうちに手術を実施。

写真①                写真②

写真③

写真④

術前術後の写真

⑤:手術前      写真⑥:開腹時

下の左はヘルニア嚢の切開時。右はヘルニア嚢の切開後の子宮の出現。

 

写真④:摘出した子宮         写真⑤:子宮壁から膿の漏出があった。

写真⑤:手術直後

術後の経過は良好で翌日から食欲が改善し、4日目に元気に退院した。

 

 

 

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