シーズーの尿路結石による尿閉で重度の腎不全を起こした症例

8歳の雄のシーズーが3日前から尿が出にくくなり、元気食欲がなくなっていたが、今朝から食欲廃絶、嘔吐、虚脱になってきたということで受診。膀胱は過大に膨満していたため、まずは膀胱穿刺により尿を吸引排出させた。X線検査により、尿道には多数の大小の結石が存在し、これが閉塞を起こしていた(写真①②矢印)。血液検査結果は総白血球数が22650と高く、好中球の左方移動・単球増多があって、かなりの感染症や炎症が起きていることがわかった。腎機能検査は血中尿素窒素(170)、クレアチニン(7.9)、リン酸(18.7)と異常な高値で、重度の腎後性腎不全があることがわかった。また電解質のナトリウムと塩素が低値でカリウムは7.3と高値だったので、生理食塩液の点滴を開始。処置としては尿道の結石をバルーンカテーテルを使用し、尿道から生理食塩液を使って注射器で圧をかけて膀胱内に戻すことをした。数回繰り返しこの処置を行った結果、膀胱内に結石が戻ったため、次に腹部正中切開・膀胱切開(写真③)にて膀胱内に戻った結石を鉗止で摘出した。大きめな結石は4.5mmから3mm大のものが5つと細かい粒状から砂状のものが多数摘出できた(写真④)。写真③のように膀胱壁全体が充出血と血行障害で赤黒くなっており、膀胱の壊死による破裂や機能障害が懸念されたが、術後3日間尿道カテーテルを留置して点滴治療を続けた結果、食欲や元気も改善され、4日後にカテーテルを抜去した後も何とか自力排尿ができるようになり、腎機能も改善したため5~6日後には退院する予定だ。

写真①

写真②

写真③

写真④

 

 

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