猫の細菌感染による化膿性肉芽腫性腸炎に腹膜炎を併発した症例

5歳の日本猫が他院にて治療を受けていたが、一向に食欲元気がないということで転院された。40℃の熱があり、白血球増多(中毒性好中球の出現)などから重度の炎症(感染症など)が疑われた。腹部の触診で中腹部に7~8cm大の腫瘤を触知したので、レントゲン検査をしたところ、右側中腹部に大きなマス(写真①)があった。腹部全体がスリガラス状で小さなガス像(写真②)が腹腔内に存在していることから腹膜炎の疑いもあった。状態が悪くなっていたので、その晩に緊急手術を実施したところ、腹腔内には膿様の液体の貯留(写真③)があり、腫瘤は腸間膜や大網が癒着(写真④)していた。腫瘤のあった場所は小腸と大腸の境目つまり盲腸のあたり(写真⑤)に形成されていた。従って回腸の一部と腫瘤のあった盲腸および結腸の一部を切除(写真⑥は切除したもの)した。回腸と結腸の断端(写真⑦)を吻合させた後が写真⑧。摘出した腫瘤と腸管に割面を入れたものが写真⑨。その割面のスタンプの染色したものが写真⑩で好中球とマクロファージが多数存在する炎症性の腫瘤と考えられた。病理組織検査では細菌感染による化膿性肉芽腫性腸炎という診断だった。

写真①         写真②

写真③

写真④

写真⑤

写真⑥

写真⑦

写真⑧

写真⑨

写真⑩

 

 

 

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