紀州犬の脾臓捻転

8歳の雄の紀州犬が急に虚脱して座り込んでしまった。貧血しているようでふらふらしているという症状で、緊急来院した。確かに粘膜の色は貧血色だが、聴診で心音が弱く、不整脈もあった。粘膜再充当時間が遅延し、ショック状態だった。腹部は全体に腫大しており、触診すると実質感があった。レントゲン写真とエコー検査で、巨大化した脾臓とカラードプラーにより、脾臓内の血管内の血流がほとんど無いことと、静脈内に血栓もみられた。以上のことから脾臓捻転と診断した。血液検査では中等度の貧血と白血球増多(好中球・単球増多)とストレスパターン、および血小板の中等度低下がみられたが、それ以外の異常は無かった。心電図検査では心室性頻拍が散発的に発現。来院してすぐに静脈点滴を開始し、ショックに対応した治療に入った。検査結果を確認し、脾臓捻転と診断してすぐ、開腹手術を実施。脾臓の捻転を確認し、捻じれを戻しても脾臓の黒ずんだ色は戻らなかった為、脾臓の摘出手術を行なった。他臓器に異常がないことを確認し、閉腹。その後は翌日から食事を食べだし、歩いて外でトイレができるようになった。その後は回復も早く4日目には退院することができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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