ストラバイト尿石の処方食を与えていた猫に膀胱結石

  
数年前に膀胱炎になり、抗生物質で改善しましたが、ストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)の結晶が多かったので、それ以来ストラバイトの予防の処方食を与えていました。ところが最近血尿が出るようになり、来院しました。左の写真は膀胱内に小さな結石が5~6個存在しているレントゲン写真です。右は膀胱内から摘出した結石です。これは蓚酸カルシウムという成分の結石でした。膀胱炎の治療をしていても血尿が治らないということで来院し、レントゲンと超音波検査をして膀胱結石があることが分かりました。ストラバイト尿石の処方食を与えていても、蓚酸カルシウムなど他の結石が形成されることがありますので、定期的な尿検査をお奨めいたします。  

 

 

外耳炎として長期治療を受けていた中耳炎の犬

    

外耳の汚れと毛を取った後、麻酔下で外耳道を観察した写真

 
    

左の写真は上の写真の毛と耳垢を特殊な鉗子でつまみ出しているところ。中央の写真は処置後。右の写真は中耳の中を洗浄と吸引の処置をしている。できるだけ外耳道や中耳をきれいにしてから、外耳薬と内服薬を使って治療しないと汚れたままではいつまでたっても改善しません。

 

耳道内の異物(草の種)

  
耳の中の異物には自分の体毛が入っていることが最も多いようですが 、このような草の種や芒(のぎ)のようなものが、入っていることがあります。(左の写真は耳道内に草の種が鼓膜に刺さるように奥に入り込んでいる)モニター画面で見ながら特殊な異物鉗子で掴み簡単に摘出できます(右の写真)。症状は突然、頭(耳)を振り出したというパターンが一番多く、頭を傾けたり、足で耳を掻くような動作をすることもあります。予防法は山深くや草むらに入らないことでしょう。 

ゴールデンレトリーバーの子宮蓄膿症

 

  
   

体重52kg.のゴールデンレトリーバー(10歳)の子宮蓄膿症でした。症状は元気食欲が無く、ほとんど動かない。水をやたらに飲む。黄色いおりものがあった。体温は39.8℃と高く、白血球数も23000と高値でした。これらが子宮蓄膿症の典型的な症状です。レントゲン検査やエコー検査で子宮の拡大や液体の貯留も確認できます。この病気の予防は繁殖の予定などが無ければ、早い時期の不妊手術をしておくことです。

 

 

猫の子宮蓄膿症(Part2)

  
 左の写真は9歳の猫さんの術前の腹囲膨満の様子、右は開腹した時の大きく腫大した膿の溜まった部分(2ヵ所)と子宮全体に腫大しているのがお分かりでしょうか。

避妊手術をしていれば、予防できる疾患です。

 

12歳の猫の足の悪性の肉腫

 

  
  

慢性の化膿と思われていた足先のできものが、実は病理組織検査で、悪性の起源不明の肉腫ということでした。

上の写真が後肢の人で言う”かかと”に当たる部分にできた肉腫で、膝下リンパ節にすでに転移をしていましたので、飼い主様の同意で断脚を決断しました。

下は断脚手術をした術後の写真。

 

 

皮膚の組織球腫2例

  
  

上の2枚の写真は鼻の横に出来た組織球腫の術前と術後、下の2枚は耳の内側の皮膚にに出来た組織球腫の術前と術後、どちらも特徴的な円形でやや赤みのあるドーム型です。

皮膚の組織球腫は一般的に良性腫瘍で、若い年代に出来たものでは自然に消失するものもあります。この2頭のワンちゃんは中年で最近急に大きくなってきたというものでした。手術により完全切除すればまず再発はありません。

 

シーズーの膀胱結石

 

  
 上の左の写真はレントゲンに写っている膀胱内の大きな結石、右は手術をして膀胱内から摘出しているところ。下の左の写真は膀胱を縫合し終わったところ。下の右の写真は摘出した2.5cm大の結石。この結石は成分分析をして、今後の結石予防のための食事療法を行なっていく。膀胱結石の予防は食事療法が最も大切! 

猫の犬歯の歯肉および歯根周囲の壊死

 

  
左の写真は猫の犬歯周囲が壊死している状況で、右の写真は そのレントゲン写真。この猫さんは猫エイズウイルス(FVR)が陽性で、免疫が低下してここまで進んだと考えられます。このような通常の歯周病とは異なった歯肉だけではなく上顎骨の重度な壊死まで伴う疾患は猫さんだけでなく、ワンちゃんにも見られます。犬の場合は高齢犬や全身性の重度な慢性疾患(重度の腎臓病や肝臓病、癌の末期など)に見られますが、基本的に歯のクリーニングを日頃からしっかりしていれば、このようなことはまず起こりません。毎日の歯磨きや口腔内のクリーニングを是非、励行して下さい。 

雄猫の再発する尿閉の最終手段は会陰尿道瘻形成術(尿道拡張術)

  
 オス猫の尿道は先端部が非常に細くなっていますので、尿中に結晶や砂粒状の結石などが存在すると、それがすぐに詰まってしまいます。他院にて尿閉が何度か再発し、尿道カテーテルが入らなくなってしまった猫さんが来院しました。膀胱には尿が充満しており、できるだけ早く排尿させてあげなくてはなりませんでしたので、まずは膀胱に針を刺入して、ポンプで吸引し、尿毒症にならないように処置をし、点滴を開始、その後オスのペニスの尿道を切り開いて広げる手術をしました。基本的に大切なことは結石ができないように予防するための、処方食を食べさせることです。

写真は術後の状況でペニスは無くなり、6フレンチのカテーテルが余裕で入るくらいの、太い尿道になっていますので、今後尿道が閉塞することはほとんどありません。