11歳の犬の肛門周囲の腫瘤(肛門周囲腺癌)

数年前に他院で肛門周囲の腫瘤ができて、手術をした病歴があるアメリカン・コッカースパニエルが同じところにまた腫瘤ができてそこから出血をしてきたという主訴で来院した。前回は良性腫瘍で、去勢手術もしたということですので、おそらく肛門周囲腺腫だったと考えられます。今回も数年前のものとよく似ているということでしたが、X線検査で腰下リンパ節がかなり腫大(写真②)しており、悪性腫瘍のリンパ節転移が考えられた。また肝臓の一部が腫大(写真①)しており、エコー検査で散在する低エコー部が見られた。飼い主の方と相談の結果、出血している肛門周囲の腫瘍を取り合えず何とかしてあげたいとのことでしたので、ここを切除バイオプシー(写真③)とし、リンパ節も一部生検をさせていただくことにし、肝臓は一部の組織をクサビ生検(バイオプシー)(写真④)をすることになった。病理組織検査の結果は肛門周囲の腫瘤は肛門周囲腺癌で腰下リンパ節には既に癌細胞がここで増殖しており、いわゆるリンパ節転移が認められた。肝臓の複数のマス(腫瘤)は肝臓過形成ということで腫瘍ではなかったので、こちらはそのままで問題はありません。腺癌に関しては来院した飼い主の方はこれ以上の外科手術や化学療法、あるいは放射線療法は希望されませんでしたが、最終結論は家族ともう一度相談して決めたいとのことでした。

写真①

写真②

写真③

写真④

 

 

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