犬の症候性てんかん(脳腫瘍による)

中年のフレンチブルドッグのてんかん発作で他院にて診断がつかず不安な為、お知り合いのご紹介でセカンドオピニオンを求めて来院した。脳以外の疾患からてんかん発作を起こしていないかを診断する為、完全血球検査・血液化学検査・X線検査・エコー検査等を実施し、ほとんどこれらの結果に異常が見られなかったので、脳の疾患が疑われたが、上部気道の問題があって、高度画像診断時の麻酔のリスクを心配され、飼い主様のご希望でまずはけいれん発作のコントロールをしていくことにした。その後ある程度けいれんのコントロールはできていたが、最近になって再度てんかん発作が目立つようになったため、MRI検査を実施したところ、下の写真のように前頭葉に塊状病変が存在していた。髄膜に沿った病変の為、髄膜腫が疑われるが、この犬種は神経鞘腫(グリオーマ)の好発犬種であり、髄膜腫は稀と言われている。飼い主様は当院まで車で3時間近くかかるところにお住まいな為、近隣の脳外科専門医がおられる病院で手術を受けていただくことになった。術後の病理組織検査の結果は髄膜腫ということだった。

 

 

 

 

 

 

てんかん発作を起こす原因には主に3つある。                   ①特発性(真性)てんかん:若い年代から発症し遺伝的素因                            ②症候性てんかん:脳腫瘍や脳炎や奇形                                ③反応性てんかん(脳以外の病気でてんかん発作を起こす)             これらを鑑別するにはまず脳以外の病気が無いかを各種検査により、ルールアウトして行く必要がある。そこで異常が無ければ脳の疾患ということになり、年齢が若ければ特発性てんかんとして、生涯治療をしていく必要があるし、年齢が中年~高齢であれば、脳の疾患を疑って、MRIなどの検査に進み、症候性てんかんのどのタイプかを診断して、それぞれに対応した治療をしていくことになる。

 

 

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