特発性間質性肺炎を疑った犬の一例

1歳の秋田犬が呼吸が早いとのことで緊急来院した。レントゲン検査では肺全域の不透過性亢進、肺胞パターン、間質パターンが認められた。血液検査では白血球の軽度上昇、それ以外は正常値だった。

肺が白く写ってしまう病気はたくさんある。鑑別診断としては肺炎、肺水腫、腫瘍などがある。年齢のことを考えると腫瘍は考えにくい。肺炎ならば咳が出たり、CRP(炎症のマーカー)の上昇が認められることが多い。肺水腫ならば心雑音や肺胞パターンのみが認められることが多い。これらのことから診断に苦慮していた。

その日に日々勉強している獣医師サイトの質問コーナーにて米国獣医内科学専門医の佐藤雅彦先生に相談する機会を頂いた。特発性間質性肺炎が疑わしいとの返答を頂いた。確定診断には麻酔下にて気管支肺胞洗浄回収液(BALF)が必要になるが、全身麻酔のリスクを考慮し、試験的に治療を開始した。ネブライザー(ゲンタマイシン、ムコフィリン、ビソルボン) BID、バイトリル(エンロフロキサシン) 5mg/kg SID、ブリカニール(テルブタリン) 0.1mg/kg SIDを5日間行ったところ、見事に改善した。治療的診断が功を奏した一例だった。

 

治療前

治療後

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