胃拡張・胃捻転を起こした超大型犬の1例

 胃内に大量にガスが貯留し、胃拡張・胃捻転を起こした中年の超大型犬が呼吸促拍の状態で来院した。外で遊んでいたら急に立てなくなり、ふらふらし始めたとの主訴であった。身体検査を行ったところ、腹部がパンパンに張っており、レントゲン画像上で胃の中に大量のガス貯留が認められた。すぐに留置針を用いて胃内ガスを排出したところ、呼吸は少し落ちついた。状態が落ち着いたところで胃の捻じれを整復し、胃の位置を固定する手術を行った。
胃の位置は本来の位置から180度回転して捻じれており、胃の中にはガスと貯留液が溜まっていた。
胃拡張・胃捻転は急速で致死的な進行をする疾患であり、放っておくと不整脈、虚血、多臓器不全などを引き起こし危険な状態に陥る。胃内のガスを抜くだけでは再発を起こしやすく、手術により胃を正常な位置に固定し、胃の内容物を取り除く必要がある。
この疾患は大型犬や、胸の深い犬で起こりやすく、発生原因としては、大量の食事を早食いすること、布などの異物を飲み込むこと、運動後や暑熱環境で呼吸が早くなり空気を大量に飲み込むことなどが考えられる。
もしも疑わしい症状が出た場合にはすぐに病院にご連絡することをお勧め致します。

           OPE前の胃

           OPE後の胃

コメントは停止中です。