日本獣医がん学会のトピックス

1月26日・27日の2日間、麻布大学で日本獣医がん学会が開催されました。学会のメインテーマは「膵臓腫瘍をさぐる」。また今回の”めだま”は何と言ってもDr.Moorの講演会で、先生は以前カリフォルニア大学、現在オーストラリアで腫瘍科の専門医として活躍している世界的にも有名な獣医腫瘍学者です。

講演の中で最新の治療がいくつか紹介されましたので、その一部をご説明しましょう。

1つはメラノーマ(悪性黒色腫)の免疫療法で、いわゆるDNAワクチン(チロシンキナーゼ阻害剤)といわれるものを特殊な針の無い注射器でミスト状にした薬剤を皮膚から瞬時に投与するといったもの。この治療を6ヶ月~2年間使用することで、副作用がほとんどなく、かなりの効果がある。

リンパ腫の化学療法でサイクロフォスファマイドの高容量療法に、自家骨髄移植を応用すると1頭/13頭の発熱があるものの、35%の犬が完治するという。但し、費用がとてつもなくかかるのが難点ではある。

インスリノーマ(膵臓β細胞腫瘍)はやはり診断が大切で、血液検査ではインスリン濃度がいつも高いわけではなく、低血糖があるのに正常のインスリンは、それは異常値とする。画像診断はエコー検査+CT+シンチグラフィー(日本ではまだ実施不可能)によって、細胞活性とホルモン活性がわかるため早く手術した方が良いか、内科療法でいけるのかがこれで判断できる。CTでも判断できない小さな腫瘍もあり得る為、手術をする場合、右葉か左葉のどちらか全体の1/2までは切除が可能。転移性病変がある場合内科緩和療法のみでは2.4ヶ月で症状発現。外科手術後内科緩和療法をすると44ヶ月で発現する。緩和療法としてはコルチコステロイドとダイアオキサイドを使用。化学療法としてはStreptozotocin(β細胞に細胞障害性)があるが、そのままでは激しい腎不全を起こすため、生食利尿を十分かけて投与すると、163日間血糖値が正常に維持し、生存期間308日と言う結果が出ている。これは外科手術と同じくらいの生存期間。

その他にも多くの新しい情報が入手できましたので、がん治療の最新の方法を飼い主の皆様にご提供して行きたいと思っております。

ジョン V.ルース米国大使主催の新年会に出席してきました。

私の家内の祖父、金子堅太郎が日米協会初代会長ということもあって、ルース大使のお招きで、家族4人と友人2人で米国大使公邸に行ってきました。公邸入り口では招待状とパスポートなどの身分証明書を提示し、チェックがあった。ルース大使にお一人お一人が挨拶をしてからパーティー会場に入るため、玄関外まで列となり、会場にたどり着くのにかなり時間がかかりました。挨拶後、ドリンクを手にしていよいよパーティー会場へ入りました。それほど広くない会場でしたが、満員の状態で、移動するのも難しい状況でした。

デーブ・スペクターさんの司会で始まり、ルース大使と大河原日米協会会長の挨拶の後、女性アメリカ海兵隊の両国国歌斉唱があり、両大使とスペクターさんのジョークを交えたお話と酒樽の鏡開き、そして乾杯となった。立食パーティーは20種類ほどのお料理やデザートも豊富に並べられ、生演奏の中、時間の経過と共に皆さん会話が弾み、とても賑やかな雰囲気になりました。

我々も大河原会長にご挨拶したあと、デーブ・スペクターさんの奥様京子さん(エッセイスト・TVコーディネーター)としばらくお話が出来たり、色々な方にお会いでき、とても楽しいひと時が過ごせました。

写真は上から順に大使からの招待状、玄関入り口、ピロティーから2階に上がる階段、デーブスペクターさんと奥様、大河原会長と私。 

 

凍結手術の安全性

昨年導入しましたクリヨペンという凍結手術器による、いわゆるイボ取りを希望される方が、最近とても多くなってきました。

この医療機器の特徴は ①全身麻酔が全く必要ないので、かなり老齢な動物でも、心臓疾患がある子でも実施できる  ②痛みはなく安全であること  ③数時間のお預かりだけで入院も必要ないこと  ④切除手術のような切開縫合はありませんので短時間で処置が終わること ⑤凍結手術は切除手術より費用が安く済みます。下の写真は術前・術直後・術後数分・術後2週間その下がクリヨペンの機器一式です。

 

 

コーミングやブラッシングの際イボから出血する、本人がイボを気にして盛んに舐めたり、足で引っ掻いたりするなどの症状のある老齢のワンちゃんなどにはお薦めです。

 

モモちゃん・ナナちゃんおめでとうございます。

昨日1月5日に伊東モモちゃんとナナちゃんがお正月らしく着物を着て来院です。ナナちゃんは寒がりで半てんを羽織っていました。そして手作りの毎月衣装の異なる写真入りのモモ・ナナカレンダーをいただきました。ありがとうございました。今年も良い年になりますようお祈りいたします。

あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。

皆様と皆様のご家族である可愛い動物たちのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

私達のめざしているものは、ヒューマンアニマルボンド(人と動物の絆)を大切にした医療であり、動物のウェルネス(心身ともに健康で美しく幸せな状態)を達成するために仕事をしています。

(PS)元旦の初詣は毎年地元の森戸神社に行く事にしています。今日は天気も良く清々しい気持ちでお参りできました。森戸海岸から雪をかぶった富士山が裾野まで見えたので、感激してカメラに収めてみました。

1月3日、寒川神社にお参りに行ってきました。久しぶりに三が日に寒川さまに行きました。予想通りの人出でしたが、割りにタイミングよくスムースに終えることが出来ました。今年を占う意味で恒例のおみくじをしてみましたら、まあまあ良い内容でしたが、そこに書かれていたものに「悲しそうな顔、落ち込んだ顔、暗い顔をしていると運も逃げてしまう、いつも笑顔を心がけていれば、どんどん運が開けて行く、笑う角には福来る。」というようなことが書いてありました。寒川さまの帰りに江ノ島水族館によってみましたが、そこでも私の誕生月の占いに何と”笑う角には福来る”と書いてあったのには驚かされました。下の写真は寒川神社の入り口(恒例の青森のねぶたの一部が飾られている)と水族館でカメラに収めた縁起の良い生き物たち(海がめ、ヘビではありませんがチンアナゴと言うユーモラスな魚、タツノオトシゴ)と、じっと見入ってしまったとても透明感のある美しいクラゲの写真などをご紹介します。

 

 

救助犬訓練士協会(RDTA)の写真展に参加

27日午後、銀座の美術会館でNPO法人救助犬訓練士協会の写真展があり、参加してきました。毎年開催されるようになったので今年も行かせて頂きましたが、年末のウィークデーにもかかわらず、沢山の方々が見学にいらしておりました。今年は脳科学者の玉川先生の犬の脳のお話があり、ヒトの脳との比較や運動と感覚のおこるメカニズムと犬の学習と訓練の関係など、おもしろく、分かりやすい説明で、大変ためになりました。また展示会場では美大の学生によるペットと飼い主の似顔絵があったり、パーカーや村瀬代表の本等の販売があり、これらもすべて協会の活動資金になると言うことです。

 

 救助犬訓練士協会は救助犬の育成や訓練をすることで、人命救助の大役を担う犬を輩出していますが、その活動は大きな災害があれば日本だけに留まらず、世界のどこにでも緊急出動できるように体制を整えています。いつ我々がお世話になるかも分かりません。日本は欧米から比べるとまだまだ救助犬の数が足りません。できるだけ多くの方がこの協会の活動と必要性を理解していただけるように、今後も出来るだけの協力をして行こうと考えております。

 

稲川素子さんの出版記念イベント

 

 

 

 

 

 

昨日、家内がいつもお世話になっている稲川素子さんの本(上の3段目の写真)の出版記念イベントに家族3人で応援のため出席してきました。このイベントは稲川さんが館長を務める河口湖のオルゴールの森・美術館のエントランスホール(写真上)で行なわれました。ここは優雅な時代を物語る壮麗な舞踏会を再現すべく建物全体をダンスオルガンにした世界最大規模の自動ダンスオルガンで、その迫力は目を見張るものがあります。この会場で子供たちはハローキティとモコちゃんの着ぐるみと一緒に遊んだり握手をしたり、(2段目の写真)大人の方たちはサイン会や即売会に興じ、賑やかな中で大盛況に終わりました。ついでにオルゴールの森美術館をすべて散策してきましたが、ここに展示されているオルゴールはヨーロッパのものがメインですが、どれも華麗で荘厳なオルゴールとも思えない手の込んだ大掛かりなものばかりでした。中でもドイツの皇帝、ルードヴィッヒⅡ世がヴェルサイユ宮殿の”鏡の間”を模して建てた「ヘレンキムゼー城」の舞踏会の様子を縮小して製作したオルゴール(下の写真)は誰もがその精密さに驚嘆すると思います。

 フィルハーモニック・オーケストリオンの代表作、ドイツ、ウェルテ社の「タイタニック・モデル」は悲劇の豪華客船タイタニック号の一等船客のサロンの為にデザインされ、製作されたにもかかわらず、出航に間に合わず悲劇から逃れることが出来たというもの。この自動オルガンは80人のオーケストラが演奏しているのと同じ音色が出ると言われているだけあって、数曲の演奏曲を聴きましたが、なんとも素晴らしい音色と奥行きのある音質で、現代の鮮鋭なデジタル的なものと違ったアナログの音の良さを実感でき、聴いているだけで胸にこみ上げるものがありました(写真下)。

河口湖オルゴールの森美術館はとても素晴らしい庭園の中に、いくつものコンサートホールがあり、それぞれが自動演奏楽器ともいえるオルガンやオルゴールの演奏を聴けるようになっており、私は今回そこで現代のように発達した科学技術の為に見失いつつある「音楽の本質」のようなものを気付かせてくれたように思います。

 

 

 

 

 

 

 
   

サンタさんのコスチュームでご挨拶!

 

本日伊藤モモちゃん・ナナちゃんがサンタクロースのコスチュームでご挨拶に来てくれました。いつものことですがスタッフのみんなにご挨拶をしないと気が済まないようです。いつもスタッフの皆んなを楽しませていただきありがとうございます。

二人ともコスチュームがお気に入りで、可愛いと言ってもらうととても嬉しそうですし、飼い主の方もとても幸せそうです。ペットに洋服を着させることに賛否はありますが、私はこれもヒューマンアニマルボンド”人と動物の絆”の一つの良い例だと思います。

 

当院の忘年会

 

 

海狼さんで13日(木曜)に当院の忘年会と歓送会を兼ねたパーティーが行なわれた。院長(私)の乾杯の音頭で始まりましたが、その最初になんとサプライズでとてもビッグなフルーツ満載なバースデーケーキがスタッフの皆んなからプレゼントされ、大変感激しました。お食事のコースが一段落した後は毎年プレゼント交換会があり、今年も新人スタッフが趣向を凝らした交歓会で大変和やかな雰囲気になりましたが、その後またまた私のバースデープレゼント(もっと上手くなれと言う意味ではないと思うが、プレミアムゴルフボールと可愛い犬のマーカー)をスタッフからいただき、2度目の感激でした。さらに9月で退職した山本先生(来年公務員試験を受験するため、毎日猛勉強中・上の写真で院長の右)と今月で退職となる梶村先生(研修のためパートで勤務していた湘南夜間救急動物病院の院長で来年茅ヶ崎で開業する・上の写真で院長の左)にもスタッフから当院卒業記念品のプレゼントがあり、2人とも大変喜んでいた。山本先生にはちょっとしたブームになっている炭酸水製造器具、梶村先生には生後5ヶ月のお子さんがおり、ベビー用品が贈られた。最後に集合写真(上)を撮って、一次会はお開きとなった。その後は約6名が2次会へと繰り出し、近くのバーでお洒落なカクテルなどを飲みながら日頃話すことのない楽しい話題に花が咲き、結局夜中の12時頃解散となった。当日はふたご座流星群の見える夜ということで、病院裏の駐車場で天を仰いでいたら、素晴らしい輝きを放つ大きな星がかなり遅く感じるスピードで、オリオン座のすぐ下辺りを横切っていくのを2つ観察できて、スタッフと共に満足感と幸せ感を抱いて帰宅の途についた。

スタッフの皆んな本当にありがとう!

JAHA国際セミナーに参加して。

7日~9日までの3日間、日本動物病院福祉協会(JAHA)主催の国際セミナーに出席してきました。講師はアメリカ獣医内科学専門医のDr.Coates(コーテス)でした。内容は神経学的疾患の診断(歩様の評価から)についてから始まり、脳神経障害胸腰椎の椎間板疾患、更に前庭疾患、非感染性炎症性中枢神経疾患の診断と治療そして予後についても詳しい解説がありました。またコーテス先生が生涯をささげてきた研究だとおっしゃる犬の変性性脊髄症については、かなり発生の原因がわかってきており、好発犬種があることや遺伝的素因/遺伝様式が解明されてきた為、今まで行なわれてきた臨床検査や画像診断に電気的診断検査や遺伝子検査を加える事によりかなり確定診断に近づいてきましたし、将来遺伝子治療などに発展する可能性もあるということです。この疾患の発症年齢は平均9歳ですが、病気ゆっくりと進行性で、経過は6ヶ月から3年といわれ、ふらつきに始まり、後肢不全麻痺~完全麻痺、前肢も麻痺し、歩行困難、排尿排便失禁、その後呼吸器の機能に問題が出てくると死亡して行くことになる難病の一つです。治療に関しては現在のところ、有効性のある治療法は無く、有効性の認められた薬剤や栄養補助食品についても未だに無いと言われている。運動療法や理学療法は病気の初期には有効性があるが、それ以降は病的な筋肉に疲労を起こさせ、逆に進行を加速させる危険性があるとも言われている。当院では現在ウエルシュコーギーの変性性骨髄症の進行した患者さんに鍼治療と中草薬の治療を継続しています、現在のところ治療を始めてからはとても元気ではつらつとしているという評価を頂いております。