3年ほど前に異物による腸閉塞で手術をしたことのある小型犬が、プラスチック製の容器の一部を飲み込んでしまい、それが以前手術をした場所に詰まって、腸閉塞を起こしてしまったというもの。下の左の写真が指で示している範囲に異物が閉塞しているところ。中央は腸管の縫合が終わったところ(今回は腸管の断端を斜めに切開して管腔を広げた)。鉗子で示しているところが以前手術をした部位でその下が摘出した異物。今後も消化できない物を飲み込んでしまうと閉塞の危険がありますので、十分な注意が必要です。
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3年ほど前に異物による腸閉塞で手術をしたことのある小型犬が、プラスチック製の容器の一部を飲み込んでしまい、それが以前手術をした場所に詰まって、腸閉塞を起こしてしまったというもの。下の左の写真が指で示している範囲に異物が閉塞しているところ。中央は腸管の縫合が終わったところ(今回は腸管の断端を斜めに切開して管腔を広げた)。鉗子で示しているところが以前手術をした部位でその下が摘出した異物。今後も消化できない物を飲み込んでしまうと閉塞の危険がありますので、十分な注意が必要です。
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8歳を過ぎた雄のサルーキーが以前(2年程前)から季節の変わり目などに朝方に嘔吐することがあったが、ここ最近夜にも何度か吐くようになってきたという症状で来院。血液検査では好酸球が少し高いという特徴がある以外、生化学検査も全て正常だった。単純X線写真では胃壁がやや肥厚していた程度で特に異常は認められなかった。そこで次に胃の内視鏡検査を実施した。下の写真(胃カメラ)で左は胃粘膜が腫れて胃壁のひだが無くなっているのが分かる。右は粘膜表面に白っぽい点状の小隆起が点在している。 | |
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胃の内視鏡検査により数ヶ所の胃粘膜をバイオプシーし、病理組織検査をした結果、好酸球性胃腸炎という診断でした。犬の好酸球性胃腸炎はアレルギー性の原因があると言われており、まずは低アレルギー食に変更する必要があります。症状が軽度であれば、食事療法と胃炎や嘔吐に対する対症療法だけで改善しますが、重度のものであれば、ステロイド剤やその他の免疫抑制剤を使うこともあります。いずれにしても厳密な食事療法が必要です。 |
12歳のテリア系雑種犬が最近下痢が続くということで、診察をしたところ、下痢とは関係がないのですが口腔内に黒い腫瘤が見つかり、下顎の大臼歯の歯肉から1cm大の円形腫瘤(下の写真)とそれにつながる様に少し小さな楕円形の黒い腫瘤が確認された。その部分の針生検による細胞診と病理組織検査ではメラニン色素を含んだ細胞が大小不同を伴って多数存在していることから悪性黒色腫という診断となった。悪性黒色腫は転移性が80%を超え、大きさが2cm以内でリンパ節に転移がなければステージⅠで中央生存期間511日ですが、この子の場合下顎リンパ節にすでに転移が認められたため、ステージⅢとなるため、中央生存期間が164日となってしまう。
飼い主の方は外科手術や化学療法や放射線治療を望まないということでしたので、自然療法などの代替療法をやっていくことになった。
11歳近いミニチュアダックスフントの左前肢の肉球の一部が腫れて気にしていると言うことで来院。まずは肉球の腫瘤部のニードルバイオプシーを実施し、心臓を含めた一通りの検査をさせていただいた結果、細胞診でメラニン顆粒を含む腫瘍細胞が多数観察されたため、手術をお奨めした。以前から腫瘤はあったが2件の動物病院で心臓が悪くて手術が出来ないと言われていた。実際、聴診で心臓の雑音はリバインの分類で5/6~6/6でかなりグレードは高そうでしたが、心臓の超音波(エコー)検査で検査してみると心臓の機能としては麻酔に耐えられないほどではなかった為、念のため心臓の治療薬を前の病院で内服させていたものを変更と追加をさせていただき、2週間ほどして心臓の肥大改善の確認等をした上で切除手術をすることにした。腋下リンパ節や胸腔内のリンパ節などの腫大は認められなかったが、メラノーマであれば、遠隔転移も考えられるため、断脚手術までしないと再発が防げないかもしれないと言うご説明までして、ご相談の結果、周辺からの部分切除をする事になった。病理組織検査の結果はやはり悪性黒色腫(メラノーマ)だった。一般的に口の中や粘膜と皮膚の境や四肢末端に発生したものは悪性度が高いと言われているので、組織標本は完全切除されており、血管内の腫瘍細胞の浸潤も見られなかったが、定期的な観察に十分注意する必要があります。写真は切除前と切除後の状態です。歩行にはほとんど問題はないでしょう。
8歳のミニチュアダックスの下腹部に飼い主が腫瘤を触知、乳腺の腫瘍かと思って来院した。病院で獣医師が触診したところ、皮下ではなく、その下層の筋肉に固着しているように感じた。ニードルバイオプシー(針生検)をして、細胞診をした結果、紡錘形細胞と炎症細胞が混在し、細胞分裂像なども見られたため、飼い主様と御相談の上、切除バイオプシーを実施した。病理組織検査の結果炎症性偽腫瘍と言う診断が出た。この診断名はヒトで用いられる名称で、反応性、炎症性の組織像を背景に紡錘形細胞の増殖を示す腫瘤状病変で非腫瘍性病変と考えられていたが、近年筋線維芽細胞の腫瘍性増殖が含まれているといわれる。種々な臓器に発生するが、肺以外に発生したものでは、貧血や白血球増多、多クローン性高ガンマグロブリン血症などの症状を伴うことがあるといわれているが、この症例には特に異常な症状はなかった。動物ではこの腫瘤の臨床症状や経過などが研究されているわけではないので、とりあえず定期的観察が必要となる。下の写真は皮膚切開したところで、筋層から発生している腫瘤が観察できる。
家の中に飼われている猫さんが、飼い主が留守をして帰宅したら、足を挙げたまま動かなかったということで来院。レントゲン検査で後肢の腓骨脛骨が骨折。但し、皮膚の2ヶ所に小さなきずがあり、骨折端の鋭い骨の先端で皮膚に穴が開いたことになるので、開放骨折の扱いになり、細菌感染を起こす可能性が高くなるため、創外固定法を選択した。写真は上段は骨折した部分のレントゲン写真。中段は創外固定の手術を終えた時の写真で右はガーゼやギブス用包帯の上をべトラップというテープで保護した状態。下段は術後のレントゲン写真。
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数ヶ月前から時々便に血液が付着していたが、最近出血が多くなってきたと言う主訴で来院した。一年前からだが体重も1㎏も減っていた。血液検査では軽度の貧血と慢性腎不全が、さらに胸部のX線検査とエコー検査では肥大性心筋症があった。また腹部のX線検査(左と中央の写真)では下行結腸壁に腫瘤があり、胸部のX線検査(右の写真)では右側後葉の肺に2cm弱の腫瘤が見つかった。両方の腫瘤の関係性はバイオプシーや細胞診などのより詳しい検査をしていかなければ分かりませんが、そこまでの検査を希望されませんでした。
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また15歳と言う高齢のこともあり、外科手術や特別な治療は希望されなかったため、対症療法となりました。今後は経過を見ながら内科的な治療を実施する予定です。 |
13歳のコーギーが元気 ・食欲なしで来院、白血球のかなりの増加、腹腔内の腹壁筋肉に腫瘤を触知。X腺検査で直径2cm大のマスを確認(写真左)。針生検による細胞診で変性性の好中球が一面に見られ、細菌の貪食像も見られたため、抗生物質を10日間投与した後、再度X腺検査をしたところ、その腫瘤がさらに増大していた(写真右)。
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2年ほど前に脾臓の起源不明の肉腫で脾臓の全摘出術をしていることもあり、手術により腫瘤を切除する事になった。下の写真が手術中の様子と摘出した腫瘤。病理組織検査の結果は、以前の起源不明の肉腫と同様の細胞形態を示しており、恐らく転移性の起源不明肉腫であろうと言う結果でした。摘出した腫瘍の切除縁の腫瘍細胞の血管内浸潤はないということで、完全に切除されていたが、今後も再発や転移に注意する必要はある。
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猫の甲状腺の腫瘤ほとんどが腺種様過形成や腺腫といわれる良性のものですが、腺癌は全体の1~3%と言われており、猫では非常に珍しいタイプです。以前より甲状腺機能の亢進があり、(T4:26.4)肝臓の酵素も高値でした。最近になって腫瘤の大きさが増大してきたため、手術による摘出となった。下のエコー検査の写真2枚は腫瘤内の液体貯留と周辺の血管の分布をカラーで示している。
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下は術中の写真と摘出した腫瘤(病理組織検査結果は甲状腺癌)
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上の写真は指間部に出来た腫瘤を示している。針生検による細胞診を行なった結果は非上皮性悪性腫瘍を疑ったため、本来は大きく拡大切除をするべきですが、それには断脚をすることになるため、飼い主様とのお話し合いで切除バイオプシーと言うことになった。 |
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左写真は摘出した腫瘤、右は手術後の写真。病理組織検査の結果は悪性巨細胞腫瘍。巨細胞腫瘍は両性と悪性があり、動物では軟部組織や腱で発生するとされているが、以前は発生の由来が確定されていない腫瘍とされていたが、組織球由来の可能性が示唆されるようになり、悪性巨細胞腫瘍は組織球肉腫に相当する可能性が高い。つまり今後は他の部位の皮膚や内臓臓器に同様の腫瘤が発生する可能性もあるということです。
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