新規採用者の選択の難しさ

次年度、当院は2名程スタッフの採用をする予定だ。今年3月から延べ12名の希望者が面接や実習を終えた。しかし人を採用する際にはいつも悩みます。まずは病院に最初に電話をしてきたときのしゃべり方や受け答えの仕方で、大体の雰囲気や生活環境が分かることがあります。ここで篩いにかけることもあります。そして実習や面接の際の第一印象、言葉遣いなどを参考にします。特に実習中は私と一緒に診療の補助をしてもらいますが、挨拶をきちんとできるか、飼い主様との会話ができるか、自主的に仕事に参加できるか、動物の行動を理解しているかなど基本的なところを仕事をしながら観察します。またスタッフに溶け込んで会話が出来るか、相性はどうか、どんなことに興味や好奇心を示すかなど、後でスタッフに意見を聞くことにしています。また当院では企業などでよく使う適性検査の質問に時間制限で答えてもらっています。この結果も個々人の性格や仕事の適正、どんなものに興味を持つか、意欲やヤル気はどうか、社会性は、などなど、とても役に立ちます。但し参考までということになります。そこで直感を頼りにだけして、決定すると間違いが起こりますので、本人との会話の中からその人の考えを出来るだけ理解し、スタッフの意見も充分聞いて、色々なデータも参考に総合的に判断しています。採用した後、たまに失敗したかなと思われる人も次第によい方向に発展してくれますし、その人の個性が伸びて、採用してとても良かったと思えるようになりますから、自分を信じて採用を決定しています。今回も当院に実習や面接に来ていた学生たちは皆んな熱心で将来の夢をしっかり持っていました。採用する際にはいつもそうですが、どの人も素晴らしいところがあって、とても悩みます。夏休みも終わりに近づいていますのでそろそろ採用決定をしなければなりません。もし採用されてもされなくてもそれはその人の運命ですので、その運命に従って気持ちを切り替えて、前向きに進んで行ってもらいたいと思います。彼等の未来はこれからですので。

専門医による院内スタッフ継続教育セミナー

当院は以前よりスタッフの継続教育として、日本動物病院福祉協会(JAHA)や日本動物病院会(NAHA)主催の国際セミナー(世界的に有名な各科の専門医によるセミナー)に出席したり、湘南臨床研究会という地域の獣医師の勉強会に国内の有名な専門医を講師に招き、セミナーや症例検討会をしています。さらに当院スタッフが得意とする分野を極めるため、各学会に所属し、症例検討や症例発表による自己研摩に取り組んでいる。その他に院内でも獣医師だけの勉強会や動物看護師だけの勉強会を自主的に実施していますし、各大学や専門医病院の獣医師を病院に招いて、セミナーを開催したりしています。

現在は、8月初めから院内セミナーとして獣医皮膚科専門医の永田雅彦先生(Animal Specialist Centerの皮膚科医・日本獣医皮膚科学会会長)にシリーズで講習会をしていただいていますが、全てのコースが終わるのに11月までかかる予定です。これによりスタッフ全員が基礎から応用までの勉強を共有して行けるので、皮膚科の総合力が増していけることを期待しています。下の写真は院内講習会の様子です。

ヨーロッパの動物病院の現状

あるところで海外(ヨーロッパ)の動物病院の視察報告を聴いてきた。イギリス・ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリアの5カ国だったが、それぞれの国の経済状況の違いや犬猫の飼育率や飼育環境の違い、動物病院の規模や施設数と人口のバランス等々は、さすがにアメリカなどの状況とはかなり異なりますが、逆に日本の現状に近い部分もあるようでした。

イギリスは流石に、動物愛護に関する法律がかなりしっかりしたものがあります。例えば仔犬を狭いゲージやショーケースに入れて展示することを禁止しているので、ペットショップはハロッズ以外には一軒もなく、ブリーダーが飼い主の環境を調べて、妥当と思われる飼い主にのみ譲渡している。またイギリスは歴史的に階級社会がはっきりしている国なので、裕福な飼い主は専門医のいる二次診療も受けられる24時間サービスの病院などに行き、一般の人は一次診療のみのクリニックに行き、必要があればより設備の整った病院に紹介してもらうこともできる。年金受給者や低所得者、自己破産者の方たちも、審査確認後、低所得者向け動物病院で診察を受けられる。どんなに低所得者でも動物に普通の診療を受けさせることが出来るので、捨てられることもなく、飼い主と一緒に生活していけるという素晴らしいシステムだと思いました。またこの低所得者向け病院はすべて寄付金で運営されているというから凄いです。

ドイツは飼われている動物が犬より猫の方が多く、猫専門の獣医師が多いらしい。イギリスほど徹底していないがブリーダー経由 での購入がメインだという。動物病院のつくりはどこのスペースも広く、ゆとりある設計になっている。非常にセンスがよく、スタッフルームもこだわりがあり、働きやすそうだった。

スペインのバルセロナの動物病院の数は人口の比率からすると、東京の半分だそうです。ただ病院内で従事している獣医師の数が日本国内では4人以上が5%に対し、スペインでは20%もいるということで、この原因は獣医師が余っている状況だからだという。国の経済状況があまり良くない事も原因しているでしょう。

ポルトガルは動物病院の階層分け制度があり、設備のよい大病院は少なく、一般のクリニックは異常に多く、ワクチンや簡単な診療をする診療所がそこそこある状況なのですが、小規模診療所の廃業傾向があると言う。またオーナーと経営者を分離し、オーナーは獣医療に専念でき、経営を専門家に頼んで、しかも利益が出たら設備投資をするといった無理をしない経営スタイルをとっている。その点はうちと似ているような気がした。違う点はカルテの電子化と飼い主と一緒に進める診療、つまりネット上で飼い主がカルテを見れることで情報を共有して診療していくスタイルをとっている。将来的に検討する必要があると感じた。

イタリアは所得税50%、消費税25%という信じられない高い税金で成り立っているが、人件費の低さと診療科目の細分化や専門化が進んでるため、獣医師数が30~50人という病院も多いという。

ヨーロッパの病院はどこもあまり大きな看板を出しておらず、実に地味なものですが、どこもセンスが良いようです。診療設備に関しては日本から比べるととてもお粗末な感じがしますが、診療一件一件に充分な時間をかけ、丁寧なインフォームドコンセントを実施しています。また自然療法やその他の代替療法を取り入れた統合医療を実施している動物病院が、本場ヨーロッパだけあってとても多いと言われている。

 

 

奥入瀬渓流の想い出

久しぶりに3日間の休暇をいただき、青森に行ってきました。三沢市内にある青森屋という旅館を拠点に、2日目は一番行きたかった奥入瀬渓流とそれに続く十和田湖に行きました。ここは大学の学生時代、秋田の友人が案内してくれた場所で、特に奥入瀬は豊富な水量と、森の木々や植物が織り成す自然の造形が、強烈な思い出として心に残っています。この渓流には手を伸ばせばすぐに水に触れることができるくらいなところに小道が続くハイキングコースがあり、所々に雲井の滝、銚子の滝、白糸の滝等々の名称のついた幾つもの素晴らしい滝があり、ここも見どころの1つでもあります。写真でその魅力が少しでも伝えられたら幸いです。

 

 

 

 

 

葉山マリーナサマーフェスタの開催

8月10日、葉山マリーナにてサマーフェスタが開催された。このイベントで葉山ロータリークラブはピンクリボン(乳癌検診)のキャンペーンと大震災から復興中の福島県いわき市の物産展に協力しました。ピンクリボンに関しては実際に検診バス内で、マンモグラフィー検査ができるようにしました。このキャンペーンは葉山町も協力して頂き、保健センターの職員の方や高梨町長もいらして、バックアップをしていただきました。

メイン会場ではハワイアンやタヒチアンのダンスや有名なVance K Bandのハワイミュージックが次々に演奏され、ムードを盛り上げていました。

会場内は何十ものテントが設置され、そこでソフトドリンクや生ビールはもちろんシャンパンや手づくりカクテルもあり、おしゃれなオードブルやおつまみなども豊富に揃っており、定番のホットドッグや焼きそばでお腹を満たすこともできました。食券による買い物のシステムでしたが、結構楽しめました。いわき市のブースでは産地直送のミニトマト、愛菜トマト、親バカトマトジュースなど豊富に揃っておりましたが、終了までに完売したそうです。

葉山ロータリークラブではロータリアンがクラブ紹介のパンフレットや9月から始まる「親子と学ぼう海のこと」と題した3回シリーズのマリンプロジェクトの参加者募集のチラシを親子連れの方をメインに配ったりしました。

昨年の来場者は500人程度だったのが、今年は倍の1000人以上の人がいらしたそうですので、大成功だったといえるのではないでしょうか。

下の写真は活動中のテント内でのスナップ写真。黄色いアロハシャツを着た方が、高梨葉山町長で団扇を持っている方がロータリークラブのガバナー補佐。

 

下の写真はピンクリボンに因んでボートヤードのクレーンあたりが、ピンクにライトアップすると同時に大きな花火が打ち上がったところ。

 

下の写真はハワイのフラダンスの一場面

 

 

金子堅太郎のエピソード

私の家内の祖父の金子堅太郎は官僚・政治家で法律家(明治憲法の起草者、司法大臣、農商務大臣、枢密顧問官を歴任し位階は従一位大勲位伯爵。日本法律学校(現日本大学)初代校長)でしたが、日米協会の初代会長や大日本弓馬会の初代会長も歴任しています。今回、公益社団法人・大日本弓馬会からご依頼があり、家内が機関誌「蹄の音」に投稿することになりました。その内容は金子堅太郎の歴史書にはない面白いエピソードが紹介されていますので、興味のある方はお読みになってみて下さい。(画面上をクリックすると拡大になります)

 

 

 

日本獣医眼科カンファランスに出席して

昨日東京で開かれた日本獣医眼科カンファランスの年次大会に出席してきました。この会は一般開業医はもちろん眼科専門医から大学関係者まで幅広い層の方たちが出席しており、今回は「見えない目の診断に開眼:網膜とお友達になる1日」というタイトルで日本の眼科専門医による講義とエルサレム・ヘブライ大学の准教授ロン・オフリ先生の講義がありました。オフリ先生は大学では獣医眼科学専攻で、ヨーロッパ獣医眼科専門医でもあります。特に網膜の疾患や緑内障、比較視覚学・光学、涙腺の疾患に詳しい先生です。今回は基礎的な網膜疾患の解剖生理から診断・治療にいたるまでと、特に獣医学ではまだ歴史が浅い網膜手術についての実際についての講義でしたが、この手術についてはさすがに専門医の分野であることが分かりました。ただ網膜のどの部位に病変があるかを特定するシンプルな診断法や各種網膜疾患の鑑別法などが聞けたことが大きな収穫でした。

夏のイベント(焼肉パーティー)

毎年恒例の夏のイベント、今年も昨年に引き続きスタッフの賛成多数で決定した焼肉パーティーを8月1日に開催した。場所は横須賀市のうみかぜ公園、今年は本格生ビールを飲みたいという希望があったので、プロが使う10リットルの生樽とビールサーバーを用意、セットした途端に試飲ということで早速いただいていたチャッカリ屋さんが数名(一番上の写真)その後女性は食材の準備、男性が調理師に、先輩は優雅に日陰で一杯やりながら出来上がりを舌鼓といった具合に自然にポジションが決まってくる。朝は雨が降っていたのに出発するころから次第に晴れて、現地で始めた頃には日が差したり、やや雲が出るくらいで、最高の焼き肉日和でした。高級な黒毛和牛があったり、釣りで私が釣って来た大物?のさわら(実は20cmほど)をさばいて焼き魚として食べたり、楽しい会話で盛り上がっている人たちもいれば、キャッチボールをする人、日陰で昼寝をする人、釣りに興じる人もいて、久々にゆったりできました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉山イモサミット

昨年に引き続き、今年は7月27日に葉山ロータリークラブのイモサミットと名付けた社会奉仕活動を実施しました。葉山町にある幸母愛児園の小学生を対象に昨年はサツマイモ、今年はジャガイモ掘りで楽しんでもらいました。畑から次々に掘り起こされるジャガイモに子供たちは大はしゃぎ。気温30度の中でしたので水分補給にミネラルウオーターのほかアクエリアスやポカリスエットを常に飲んでもらい、途中で冷えた大きなスイカを沢山食べてもらいました。下の写真は収穫したジャガイモを囲んで記念撮影(私は右から3番目)その後場所を移して葉山マリーナでバーベキューパーティー。焼肉や焼きそば、イカ焼き、焼きとうもろこし、野菜炒めなどに加え、前もってクラブ会員の奥様達が、ジャガイモの冷製クリームスープやイモバタまで用意していただいたので、子供たちも先生方も大喜びでお腹いっぱい食べていただきました。お帰りの際に皆さんに手作りのジャガイモのスイートポテトをお土産にお持ち帰りいただき、楽しい1日が終わりとなりました。

 

点滴療法研究会実践セミナーに参加して

欧米のエビデンスのある点滴療法として、高濃度ビタミンC点滴療法やグルタチオン点滴療法、アルファリポ酸点滴療法、マイヤーズカクテル療法、さらにキレーション点滴療法などがありますが、それぞれ癌治療やパーキンソン病、アレルギーなどに効果があり、さらには気管支喘息、遅延型フードアレルギー、最近ではアンチエイジングの点滴療法としても注目を集めています。また驚いたことにビタミンCの高用量およびアルファリポ酸、セレン、ビタミンE、マルチビタミンミネラルの投与で放射線被爆対策にもなるのです。

今回は日本で初めて高濃度ビタミンC点滴療法やグルタチオン療法、マイヤーズカクテルなどを導入した医師である柳沢厚生先生(鎌倉の小町でクリニックを開業)の講義を主体に、それを実践している銀座に病院を持つ医師の講義もあり、大変有意義なセミナーでした。50人くらいの出席者の中で医師と歯科医師ががほとんどを占めていましたが、獣医師は5名ほどでした。獣医師の出席者のほとんどが統合医療を目指している先生方でしたので、他の勉強会や学会でお会いした人たちばかりでした。

セミナー終了後、埼玉で動物病院を開業していて以前から統合医療を実施している廣田先生に、動物ですでに使用している薬剤の用量や投与に際しての注意点などをお聞きし、昨日メールで細かい数値の入った資料を送って頂きました。

これから近い将来十分な知識と技術を身につけて、高濃度ビタミンC点滴療法などの点滴療法を動物に応用し、さしあたって気管支喘息(アレルギー性気管支炎)やフードアレルギー他のアレルギー疾患に応用したり、抗癌剤投与による副作用の発現予防や抗癌剤を使えないような状況下の動物の代替医療として、また動物の癌の予防として、あるいは動物の成人病の補助治療や予防として、さらに動物のアンチエイジングとして使って行きたいと考えておりますので、乞うご期待です。