月別アーカイブ: 2月 2014

猫の下顎の有茎皮膚弁(フラップ)による皮膚移植手術

2歳の日本猫が喧嘩による外傷が化膿して、排膿後大きな哆開創になって来院した。外用処置を続け、10日経っても際立った改善を示さないため(写真①)、飼い主の方と相談の結果、出来るだけ早い治癒をご希望のこともあって、皮膚の形成外科手術をすることになった。写真②は術後5日目、写真③は術後12日で抜糸をした時。その後数日で痂皮もとれて完治した。 写真①         写真② 写真③  

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8歳の犬の先天性耳道閉鎖

症例は8歳のイタリアングレイハウンドで、飼い主によると子犬の時から右耳の穴が無かったが、今まで何も異常なく経過してきた。ところが3ヶ月ほど前から右耳の辺りをさわると怒って咬み付こうとしたり、口を開けることが出来なくなってきた。特に最近になって食事を食べなくなってきたという主訴である。実際に診察してみると耳道が全く無く(写真①)触診により、耳介の軟骨はあるがそれに続く垂直耳道の軟骨が無く、水平耳道の位置から軟骨らしいものが触知される(写真②)。X線検査では耳道内の空洞が無く液体様の陰影がみられるくらいだったが、CT検査(写真③④)をしてみると、耳道周辺にも無構造のスペースがあり、血液検査で白血球増多(好中球増多)があり、細菌感染も疑われたため、膿瘍になっている可能性もあった。ただ3D画像のCTを見ると(写真⑤)骨胞は僅かな変形はあるものの、骨融解も目立つものはなく、構造は左右対称的に存在していた。 飼い主のご要望で手術をすることになったが、切開してみないと、分からない部分もあった。皮膚を切開し、術前に触知する軟骨様部分を露出した(写真⑥)。この軟骨は垂直耳道の一部だと思われる。この部分を切開すると中には分泌物や耳垢がぎっしり溜まっており(写真⑦)、まずはこの耳道内の耳垢の細菌培養・抗生剤感受性テストのサンプリングをしてから、温生食で耳道内を充分洗浄した(写真⑧)。耳道軟骨周辺は液体や膿様のものは存在せず、腫大したリンパ節や唾液腺が存在するだけだった。周囲の皮下組織は通常通り縫合し、軟骨を部分的に成形切除し皮膚と耳道壁を結紮縫合して終了した(写真⑨)。結論として非常に稀な症例だが、閉鎖環境にあった耳道内に耳垢が蓄積して起きた外耳道炎を伴った先天性耳道閉鎖と診断した。術後は順調に経緯し、4日後には退院した。写真⑩は抜糸直後。 写真① 写真② 写真③       写真④ 写真⑤ 写真⑥ 写真⑦ 写真⑧ 写真⑨                                  写真⑩抜糸直後      

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肛門狭窄が原因だった下痢症の猫に肛門形成術

9歳の猫が何ヶ月か前より、いつもゆるい便をしてお尻を汚しているという主訴で来院した。長毛の猫だったため、乾いた糞と被毛で肛門部が隠れていて飼い主は気がつかなかったようだが、肛門がかなりの狭窄をしていて、鉗子の先がやっと入るくらいの狭さだった。(写真①)また触診でもある程度便秘しているのは分かったが、レントゲンを撮ると腹部の写真で結腸内に大きな硬そうな糞塊がいくつもあることが分かった。(写真②) そこで分かったことは肛門が何らかの原因で狭窄したために、便が停滞してしまい、弁の隙間を通過する柔らかい便だけが、出ていたと、考えられる。 飼い主の方と相談の結果、狭窄部を切除し、ここに肛門形成術を実施することになった。写真③が狭窄部の切除をしているところ。写真④は狭窄部を切除し終わったところ。写真⑤と⑥は直腸粘膜と皮膚を縫合しているところ。写真⑦は術後の肛門(保定のため尾を上に引っ張っているため戻すと形はほぼ正常になる)写真⑧は抜糸直後。 写真①          写真②     写真③         写真④ 写真⑤                               写真⑥ 写真⑦                                   写真⑧ 病理組織検査結果:狭窄していた肛門の組織は表皮に広範囲の自潰、潰瘍化し、表皮や粘膜の脱落領域は浅層から深部に炎症性肉芽組織の増生が見られた。つまり何らかの原因で感染などの炎症が起きて、肛門周囲の炎症や潰瘍により狭窄を起こし、二次的に糞塊が詰まってしまって、便秘をしたことにより、隙間を通れる軟便の排出が起こったと考えられる。  術後は緩下剤を使用し、排便しやすいようにし、12日目に抜糸を終え、その後は順調に排便し、たまにトイレ以外のところに糞を落とすくらいまで改善した。  

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犬の脾臓の起源不明肉腫

8歳半の雌のヨークシャーテリアが膝の上から落ちてから具合が悪くなったという主訴で来院。元気消失、粘膜貧血色、腹部膨大、腹部の触診で前腹部から中腹部にかけてのマス(腫瘤)の触知。血液検査では重度の貧血と白血球(好中球)増多、ALPの上昇があった。X線検査では腹部中央部のマスと腹部全体のスリガラス状陰影(写真①②)。超音波(エコー)検査では脾臓から発生したいくつかの腫瘤が存在することが分かった(写真③④)。腹腔内には液体が貯留していることも分かった為、すぐに輸血を準備開始し、その日の内に手術を実施した。開腹した途端に腹腔内の血液が見えたため、それを吸引し、シーリングシステムにより脾臓の血管を止血離断して、脾臓の全摘出術を行った(写真⑤⑥)。取り出した脾臓のマス(写真⑦⑧) 腹腔内の出血は膝の上から落ちた時に腹部をぶつけて、脾臓の腫瘍から出血したと考えられた。 病理組織検査の結果は脾臓の起源不明肉腫だった。またこの腫瘍は海外ではfibrohistiocytic nodule of spleen として報告されており、腫瘍内を占めるリンパ球成分の量でグレード分けしている。この文献によると一年生存率がグレードⅠで57%、グレードⅡで61%、グレードⅢで32%と報告されている。この子は細胞異型や核分裂像が比較的顕著で、腫瘍内のリンパ球成分がやや乏しいことからグレードⅢの悪性度の高い腫瘍の可能性がある。一部の静脈内に腫瘍細胞の浸潤が確認されているので、肉眼的な異常はなかったものの、肝臓への転移などに十分な注意が必要である。 写真① 写真② 写真③   写真⑤      写真⑥ 写真⑦ 写真⑧        

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