月別アーカイブ: 10月 2014

前十字靭帯断裂のTPLOによる修復手術

ラブラドールレトリーバーが海岸でボール投げをして遊んでいて、急に左後肢を跛行し、その後も肢を挙上したままになってしまった。触診によりドローワーサインという大腿骨と下腿骨の関節部分でのズレが触知できた。またX線検査での下腿骨の前方へのズレも確認できたため、前十字靭帯断裂という診断をした。手術はTPLOという下腿骨の脛骨の関節面の角度を変える手術になる。2時間半程の手術になったがCアームX線装置で術中検査をし、術後も通常のX線検査で確認をしたが、とてもうまく修復されていた。 膝関節を露出し、断裂した前十字靭帯の処理と剥離していた半月板軟骨の切除をおこなった。     大腿骨と脛骨に固定具を装着し、脛骨近位を切断する半円形の器具を使用しているところ。     CアームX線装置で脛骨の角度を決めて、プレートと螺子できちんと固定されているかの確認をした。     術後のX線写真で膝関節が良い角度に修復されているのが分かる。

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猫の免疫介在性汎血球減少症

最近になって体重が減少、1週間前から元気食欲なく、たまに嘔吐、軟便という主訴で来院。体重は3年前4.7kgあったものが、現在3.7kgに激減していた。血液検査では赤血球数110万/μl、HCT6.3%、総白血球数3070(好中球210、リンパ球1970、単球890、好酸球0、好塩基球0)血小板5万と全ての血球が著しく低下していた。またウイルス検査では猫エイズウイルスが陽性で猫白血病ウイルスは陰性だった。尿検査では潜血があり、尿比重が脱水をしているにもかかわらず低かったため、膀胱炎や腎機能低下があることが推測される。便検査では回虫卵が検出され、回虫症で嘔吐や軟便があった可能性がある。重度の汎血球減少症の原因を知るために、飼い主の方に説明し、同意が得られた為、骨髄検査を実施した。骨髄のバイオプシーをして、採取した骨髄をスライドグラスに塗抹し、染色して鏡検したところ、赤芽球系が全体にやや低形成で特に幹細胞以下の芽球が少ない、また骨髄系(顆粒球系)は正常の分布をしていた。血小板の元の巨核球はほぼ正常の数が分布していた。そこで言えることは骨髄内では赤血球のやや低形成はあるが赤血球は作られており、好中球も血小板も正常に作られているにもかかわらず、末梢血中にごく少ないと言うことは、免疫介在性にこれらの血球が壊されていることになる。勿論骨髄内には腫瘍細胞は存在しないし、骨髄の細胞充実度もそれほど悪くはないので、骨髄腫瘍でも骨髄癆でもない。骨髄内の細胞形態の異常もないので、骨髄異形成症候群でも無いようなので、診断名は免疫介在性汎血球減少症ということになる。治療はまず輸血を実施し、その後徹底した免疫抑制剤を使用するが、猫なのでまずはプレドニゾロンを4mg/kg投与から始めた。現在の状態は好中球がいくらか増え、食欲元気が出てきて、順調に経過している。  

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猫の消化器型リンパ腫

13歳の日本猫が2日前から下痢と食欲廃絶で来院した。飼い主によると1ヶ月前より痩せてきたということだった。以前は3kgあったのが現在1.8kgとなっていた。腹部触診で中腹部にマス(腫瘤)が触知された為、ルーチン検査と画像診断を一通り実施した結果、軽度の貧血と白血球が73000とかなりの増加(好中球の左方移動・単球増多・好酸球増多・リンパ球増多)がみられた。また中腹部のマスは腸管であることが分かり、腸管壁の重度の肥厚があった。エコー検査で構造上この部分は回盲結口であることがわかった。またこのマスは炎症性の肉芽腫や腫瘍が考えられたが、小さめの石のような異物も腸管に存在していたことから、通過障害も考えられたので、飼い主の同意の下、開腹手術になった。マスは盲腸部に存在しており、約4cmほどの腫瘤であった。摘出手術はマスの前後5cmほどのマージンをとって切除した。その後腸管マスの割面のスタンプ標本を染色して鏡検したところ、沢山のリンパ球と好酸球が存在していた。リンパ球は中リンパ球が主体だった。いずれにしても腸管にあれだけ多くのリンパ球があること自体が異常であり、リンパ腫の可能性が高かった。術後は一般状態は急速に改善し、2日目からは流動食を完食するようになった。但し、回腸・盲腸・結腸をトータル15cm程切除しているため、下痢はしばらく続くが、来院時の水溶性下痢よりは少しづつ改善してきている。 病理組織検査結果:消化器型リンパ腫。グレード分類では Hight -intermediate grade lymphoma つまり分化型としては低~中分化型リンパ腫ということになり、悪性度の高めのタイプのリンパ腫と言える。 この先はPCR・遺伝子検査で、クロナリティーを調べることによりTリンパ球かBリンパ球かを確認することで化学療法の選択と予後や寿命がある程度予測できる。      術後8日目に退院し、クロナリティー検査が出るまでの間ステロイドで治療をすることになった。   腹部ラテラルX線検査 中腹部のマス及び1.5cm程の異物(矢印)     超音波検査 回盲結口部の空腸壁と盲腸壁が肥厚している       超音波検査 空腸壁の肥厚         超音波検査 空腸内の異物         回盲結口部の腫瘤         腸間膜根のリンパ節の腫大         腫瘤を含め15cm切除した   … 続きを読む

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肺挫傷で血胸になったトイプードル

中年のトイプードルが、飼い主の方がご自分の足が不自由だったため、転んでしりもちをついたところにたまたま居て、下敷になり、動けなくなった。病院に担ぎ込まれたときにはショック状態で、舌の色は蒼白で浅い頻回呼吸になっていた。静脈確保と輸液療法でショックの治療をし、安定したところで、レントゲン検査をしたところ胸腔内に大量の液体があり、肺が虚脱していた。エコーガイドですぐに胸腔の液体を採取したところ、血液であることがわかり、肺挫傷により血胸になっていたことが判明した。安静と止血治療と酸素化をはかったが、じきに呼吸停止となり、人工呼吸で一旦戻ったが、一時間もしないうちに再度今度は心肺停止となったため、心肺蘇生術を実施し、再度、心拍・呼吸が復活した。しかし三度目の心肺停止が起きた後は気管チューブから血液が出てきたため、飼い主の意向もあり、蘇生処置を中止した。                      どうしようもないアクシデントだったため、飼い主の方も何とも言えない、やりきれない心境だったと思います。               上の写真右が以前の正常の胸部 下の写真の下が以前の正常の胸部

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